パーキンソン病は、脳の異常のために、体の動きに障害があらわれる病気です。
現在、日本には約15万人の患者さんがいるといわれています。高齢者に多くみられる病気ですが、若い人でも発症することがあります。
パーキンソン病の検査
神経疾患の検査には、血液検査・X線検査・CT(コンピュータ断層撮影)検査・MRI(磁気共鳴画像)検査などがありますが、パーキンソン病はこれらの検査では殆ど異常がみられません。パーキンソン病と似た症状がみられる他の病気には、脳腫瘍、硬膜下血腫、脳梗塞や脳出血などがあり、これらの病気を正確に鑑別する目的でCTやMRIなどの画像診断を行います。
最新の核医学検査
SPECT/PET
脳機能をみるために血流SPECTという検査を行います。SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)は「単光子放射線コンピュータ断層撮影」とも呼ばれるシンチグラフィーの一種です。脳の断面の血流状態がよくわかり、機能低下部位を確認することができます。
PET(Positron Emission Tomography)は陽電子放出断層撮影と呼ばれる検査です。通常ブドウ糖を使いますが、パーキンソン病の診断ではブドウ糖の代わりにCFTやRACという薬剤を使います。CFTはドパミントランスポーターをRACはドパミンD2受容体機能を反映します。パーキンソン病ではCFTの異常が認められますがRAC集積は保持され、これがl-dopaなどの抗パーキンソン病薬が奏効する所以です。
ドパミントランスポーターシンチグラフィー
パーキンソン病やレビー小体型認知症では線条体のドパミントランスポーター(DAT)が減少していることが知られています。したがってDATに親和性の高い薬剤を使うことで、ドパミントランスポーターの分布状態を画像化し、神経細胞の変性や脱落の程度を知ることができます。
MIBG心筋シンチグラフィー
ヨード123標識MIBG(メタヨードベンジルグアニジン)という物質の集まり方をみることで、さまざまなパーキンソン症候群の鑑別が可能です。パーキンソン病では自律神経障害のため、この薬剤が心臓に集積しにくくなります。
また、レビー小体型認知症でも同様にこの薬剤が心臓に集まらなくなりますが、アルツハイマー病では心臓の交感神経には異常がありません。このことから、レビー小体型認知症やパーキンソン病を、他の類似した症状を持つ疾患とはっきり区別することができます。